第十回 最後のセミナー

2018年2月18日

木曜日に私の最後のセミナーがあった。これで、この研究所で過ごした7か月に及ぶ研究生活はほぼ終了することになる。2時間にも及んだセミナーは議論百出で、みんな勝手な事ばかり言っていたが、とても愉快であった。

いつも英語を話していて感じることなのだが、顔の筋肉を使わないとまともな発音が出来ないのである。30分から1時間までなら、どうにか発音出来ていると勝手に思っているのであるが、それを過ぎると顔の筋肉が疲れてきて日本語の発音で英語を話してしまう。ここに来た時の初めてのセミナーはなんと3時間にも及んでしまった。その後、口があまり動かなくなったことを今でも覚えている。

本当に苦しんだ7カ月間であったが、実験結果を眺めていても、とても多くの人の助けにより自分の研究が支えられていること認識する。なんだ、こいつ!と思っていた人間も実験結果の基本を支える受精卵を分けてくれていた。

ノーベル賞受賞者の中には研究成果が彼個人の能力にのみ依存しているような言動をする人がいるが、全体が見えていなのだろうと思う。何かをやり抜くためには、何時間にも渡り様々な角度から考え抜く力は必須である。しかし、それだけでは成果を出すことは出来ない。一見、たいしたことは無いような誰かの助けが根幹であったりするのだろうと思う。装置が突然おかしくなり、手が付けられなくなった時、普段は挨拶してもろくな返事も出来ないがその時はないも言わず助けてくれたポスドクの彼女、試薬が無くて研究所全体にメールを出した時に、すぐに”いいよ”と返事をしてくれた研究者、その他、どれだけの人が私を助けてくれたことだろう!人は個人では無力である!

君たちのお陰で、本当に多くの事を私は学ぶことが出来ました。

みんな、本当にありがとう!

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